2023年の中古車市場は、22年のような相場の高騰や流通台数不足から解消されそうだ。既に昨年11月から2カ月近く中古車オークション(AA)相場は下落に転じており、一部の車種を除いて中古車価格が新車価格を上回る状況は改善に向かいつつある。新車生産も回復の兆しが表れ、下取り車の流通台数の増加が期待される。ロシアを筆頭とする中古車輸出は旺盛な需要が続きそうだ。10月には、中古車販売時の総額表示がスタートする。総額表示により、一部の業者で散見される不当な諸費用の請求行為ができなくなり、中古車業界のさらなる信頼性の向上が期待できる。

昨年は新車の長納期化を背景に、国内では中古車の需要が伸びてきた。また、ロシアからの日系メーカーや海外メーカーの新車生産撤退を受けて、ロシアでは日本の中古車需要が急増し、中古車輸出台数が右肩上がりとなっている。流通台数が少ない中古車の獲得競争により相場は高騰を続け、車種によっては新車価格を上回る小売り価格が展示場に並んでいた。しかし、そうした車の需要は少なくなり、国内では「ユーザーも購入を敬遠するようになったし、ディーラーも調達していない」(AA関係者)という。新車販売台数も回復しつつある今年は、下取り車などの流通が増えることが見込まれる。中古車相場は、納車まで数年待ちとなっている車種を除いて正常化に進みそうだ。

中古車輸出は、日本製中古車の信頼性の高さから、需要は底堅く推移している。運搬船不足や輸送費の上昇といった課題が解消されれば、年間120万台レベルの中古車輸出台数が上振れする可能性もある。

自動車公正取引協議会(自動車公取協)は、会員を対象に10月から中古車販売時に車両本体価格と諸費用を合わせた総額表示を義務化する。一部の業者が納車費用や保証費用などユーザーが支払う必要のない費用を上乗せしている行為を止めさせることを目的としている。消費者保護の観点からも、業界では義務化を前に総額表示の取り組みが加速しそうだ。